報道による『アメリカン・スナイパー』のネタバレ騒動について思うこと

日本でもようやく先週公開された『アメリカン・スナイパー』、公開2日間で興行収入が3億円越えで初登場1位となりました。

『アメリカン・スナイパー』、『テラハ』抜き初登場1位! 2日間で興収3億円越え | シネマカフェ cinemacafe.net

 

アメリカでは公開されるやいなや、マイケル・ムーア監督やセス・ローゲンツイッターで総批判し、それに応酬するカタチで元副大統領候補サラ・ペイリンやカントリー歌手クレイグ・モーガンら、右寄りの人たちが、『アメリカン・スナイパー』批判者たちを「反米」「売国奴」呼ばわりするなど物議を醸しています。

 

日本ではというと、驚くことに「右か左か」という議論より、鑑賞した方が映画のストーリに言及する事が多く、それに対して未見の方が「ネタバレだ!」と批判する様子が頻繁にうかがえます。

 

史実をもとにした作品では、その史実をどう取捨選択して作品にしたか、それによって監督は何を伝えたいか、どう解釈したかが作品の評価となるのです。なので、どうしてもネタバレありきでの評になってしまうと考えます。作り手側も観客がオチを知っている前提で作るので、そこに作品の重きを置きません。よくある例えですが、”本能寺の変”の作品が作られたとして「織田信長が死ぬ」はネタバレにならないですよね。

 

史実をもとにした作品ではこういったネタバレ騒動というか、議論は度々起きているのですが、今回はちょっと具合が悪い事がおきまして、『アメリカン・スナイパー』のクリス・カイルを○○した男の公判で終身刑の判決がくだされたというニュースが大々的に報道されたのです。

 


「アメリカン・スナイパー」モデルを射殺した男が終身刑

 

これに対してですね「ネタバレだ!」と憤慨する方を多く見かけるのです。確かに報道を見るまでは知らなかったストーリー展開がわかってしまってはいるのですが、それを知ったからといって鑑賞意欲が削がれますかね。作品を楽しめないって考えますかね。

 

ニュース報道に対して怒るというのは、裏を返せば「映画を鑑賞するまでニュース報道するな」と言っているようなもの。そりゃ、史実をもとにした作品でもオチを知らないほうがより楽しめるとは思いますが、いち個人の楽しみのために報道の自重しろという人が多いというのは残念です。